アフリカはモロッコの北に位置する青で彩られた街シャウエン。スペインのセビリアからバスとフェリーを乗り継いで一日かけて移動し、夜もふける頃その土地へ到着した。
シャウエンはモロッコ北部リーフ山脈の山麓、標高660mに位置する人口約36,000人の小さな街。地名はベルベル語の”角”(Ichawen)という言葉に由来している。街にへばりつくように屹立するリーフ山の頂上がヤギの2本の角に見えることからそう名付けられたらしい。
青い色は人の心を落ち着かせる。そんな理屈を知っていながらもバスを降りた途端に旅人に群がる物乞いや宿の案内人たち。モロッコの人は目が合うと必ずと言っていいほど話しかけてくる。ましてや日本人を見つけるとすぐにお得意の日本語を駆使してこちらの気を引こうとしてくる。
そんなお調子者のモロッコ人をかき分けて目的の宿に着くと、青で統一された部屋に長旅の疲れからベットに寝転び青い天井を眺めながら眠りについた。
早朝、まだ人の少ない村の路地を散歩する。まだ夢の続きを見ているような錯覚になる。
ある日インターネットで偶然見たあの御伽の国に自分が実際に足を踏み入れてきたと思うともんやりとした不思議な達成感を感じる。帰国してこうして写真を整理していて寂しくなってしまった。ぼくの旅は終わってしまった。
こんな素晴らしい景色を自らの目の網膜に焼き付け、あの土地の青い染め物の匂いを体で感じてきたんだ。羨ましいぞ、自分。
写真の通り、シャウエンは外壁を青く塗られたその美しいおとぎ話のような街並みも有名である。そもそも、なぜ壁が青いのだろう?
もともとシャウエンは、イベリア半島を追放されたイスラム教徒のベルベル人によって、1471年にポルトガル人の侵略を防ぐための要塞として開拓され、1492年にキリスト教国のレコンキスタにより陥落したグラナダ王国から一斉に逃れてきたユダヤ教徒(セム系のスファラディ)とイスラム教徒の移住により発展を遂げた。
1930年代に入り、ユダヤ教徒によりユダヤ教で天空・神・心の平静・海などを象徴する神聖な色として家の外壁が青く塗られたのだそうだ。
他に、虫除けのためだとか機能的なメリットも存在するらしいのだが、1948年のイスラエル建国により多くのユダヤ教徒がイスラエルへ移動し街を去った今でも、家を青く塗る習慣は残されたベルベル人によって守られているのだ。
One Response
Miyoko
羨ましいぞ、やす君(^O^)
素敵な空間だね、ここ♪